iDeCo(イデコ)を利用して節税効果はすごいのか?iDeCoの注意点はあるのか?

老後に受け取れる年金には、国民年金だけでなく、労働形態によっては厚生年金や共済年金を受け取ることができます。

ただそれらの年金だけでなく、iDeCoを利用することで節税効果があることをご存じでしょうか。

そこで今回は、iDeCoを利用した節税効果とiDeCoの注意点についてご紹介します。

iDeCo(イデコ)の特徴

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、確定拠出年金法に基づいて2002年1月よりスタートした私的年金のことをいいます。

国民年金などの公的年金や確定給付企業年金は、国や企業が資金を運用していますが、iDeCoのような確定拠出年金は、自分の年金資産を、自分の責任で運用商品を選びながら運用していく年金制度です。

iDeCoという表記は、個人型確定拠出年金の英語表記である「individual-type Defined Contribution pension plan」から取られており、頭文字の「i」は「私」という意味が含まれていることからも「自分で運用する年金」ということが理解できます。

iDeCoは国民年金や厚生年金に上乗せして受給できる年金ですので、老後の生活の安定さを図ることができるでしょう。

現代は人生100年時代ともいわれており、老後の期間が長くなっています。

とくに日本は世界有数の長寿国で、65歳現在の方の平均余命は、男性が19.70年、女性が24.50年というデータが厚生労働省「平成30年簡易生命表」から出されているのをみると、より豊かな老後生活を送るための資産形成をしなければなりません。

iDeCo(イデコ)のしくみ

iDeCoは月々5,000円から始めることができ、1,000円単位で掛金を設定することが可能です。

そのため資金に余裕がない方でも気軽に老後の資産形成を行なうことができます。

ここではiDeCoのしくみについてみていきましょう。

iDeCoの加入資格

iDeCoに加入するためには、以下の条件を満たしていなければなりません。

加入区分 加入対象者 加入できない方
国民年金
第1号被保険者
・日本国内居住者
・20歳以上60歳未満
・自営業、フリータンス、学生など
・農業者年金の被保険者
・国民年金保険料納付免除者※1
国民年金
第2号被保険者
・60歳未満
・厚生年金被保険者
・企業型確定拠出年金加入者※2
国民年金
第3号被保険者
・20歳以上60歳未満
・厚生年金加入者の被扶養配偶者

「加入できない方」にあるように、一部の方の加入が制限されていますのでご注意ください。
1の「国民年金保険料納付免除者」は、全額免除の方だけでなく、一部免除の方も含まれます。
ただし、障害基礎年金を受給されている方はiDeCoに加入することが可能です。
※2の「企業型確定拠出年金加入者」の中でも、企業型確定拠出年金規約で個人型同時加入を認めている場合についてはiDeCoに加入することができます。

iDeCoの掛金(拠出限度額)の上限

iDeCoは、以下のように加入区分によって掛金に上限が定められています。

加入資格 掛金年額 掛金月額
第1号被保険者 816,000円 68,000円
第2号被保険者 会社に企業年金がない会社員 276,000円 23,000円
企業型DCに加入している会社員 240,000円 20,000円
DBと企業型DCに加入している会社員 144,000円 12,000円
DBのみに加入している会社員 144,000円 12,000円
公務員等 144,000円 12,000円
第3号被保険者 276,000円 23,000円

※「DC」=確定拠出年金 「DB」=確定給付企業年金、厚生年金基金を表す

iDeCoの給付方法

iDeCoの老齢給付金は、原則60歳から受け取ることができます。

受取方法は複数ありますので、以下の3つを参考になさってください。

●一時金として一括給付を受ける

原則60歳になれば、70歳になるまでの間に一時金として一括給付してもらうことが可能です。

●年金として給付を受ける

原則60歳になれば受給する権利が発生しますので、5年以上20年以下の期間で年金として受け取ることができます。

●一時金と年金の組み合わせで給付を受ける

原則60歳になったときに、運営管理機関によりますが、一部の年金資産を一時金として受け取り、残りの年金資産は年金で受け取ることが可能です。

受給開始年齢

上記では原則60歳以上であれば年金資産を受給できるとお伝えしましたが、60歳を超えていれば誰しもが年金資産を受給できるわけではありません。

以下のようにiDeCoに加入していた加入期間等に応じて受給できる開始年齢が異なりますのでご確認ください。

・10年以上 60歳 ・4年以上6年未満 63歳
・8年以上10年未満 61歳 ・2年以上4年未満 64歳
・6年以上8年未満 62歳 ・1年以上2年未満 65歳

 



iDeCo(イデコ)を利用したときの節税効果とは

iDeCoは節税効果が高いことで知られていますが、それには次にご紹介する3つの特徴があるからです。

「小規模企業共済等掛金控除」で掛金が全額所得控除

毎年1月1日から12月31日まで支払ったiDecoの掛金はすべて「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除することができます。

運用益が非課税

一般に、株式投資・投資信託などの資産運用で生じた譲渡益・配当益には、20.315%の税率(所得税率15.315%+住民税率5.0%)が課されますが、iDeCoで発生した運用益は非課税です。

受給時に所得控除が受けられる

受給年齢に達してから確定拠出年金を一時金として受給する場合は退職所得控除の対象となり、年金として受給する場合は公的年金等控除の対象となります。

iDeCoの注意点

iDeCoは節税効果が高いことから注目を集めていますが、以下のような注意点があることを知っておく必要があります。

所得控除されるのは本人のみ

専業主婦でも加入することができるiDeCo。

iDeCoの掛金は加入者本人の口座からの引き落としとなります。

国民年金や国民健康保険では「専業主婦のように所得がない妻の分を、夫が代わりに支払うことで控除を受ける」ことができますが、iDeCoにはそのようなしくみはありませんので注意してください。

iDeCoに加入していた加入期間等に応じて受給できる開始年齢が異なる

前述でもお伝えしましたが、iDeCoは通算加入期間によって受給できる年齢が異なります。

60歳から受給されるためには、通算加入期間が10年以上でなければならず、それより通算加入期間が短い場合は60歳以降に受給されることになりますのでご注意ください。

手数料が発生する

iDeCoに加入すると、以下のような手数料が発生します。

・国民年金連合会への加入・移換時手数料 【初回1回のみ】2,829円
・国民年金基金連合会への掛金納付手数料 【年間】1,260円
・信託銀行への資産管理手数料未満 【年間】792円
・受給時の給付手数料 【1回につき】440円

上記以外に、金融機関によって拠出するたびに運営管理手数料が発生しますので、iDeCoは思った以上に費用がかかることを知っておかなければなりません。

元本割れリスクが発生する場合がある

iDeCoは基本的に、リスクを抑えながら運用できるしくみが採られています。

ただリスクが100%ゼロであるわけではありませんので、商品の選び方や経済状況など、社会情勢によっては元本割れする場合がありますのでご注意ください。

iDeCoを始める手順

ここまででiDeCoについて、さまざまなことを知っていただけたことでしょう。

では最後に、iDeCoを始める手順についてご紹介します。

手順1;加入資格を確認する

前述の「iDeCoの加入資格」でお示ししたように、ご自身がiDeCoの加入資格を満たしているかを確認しましょう。

また合わせて先に述べました「iDeCoの掛金(拠出限度額)の上限」で、掛金の限度額が異なりますのでご自身の掛金についても知っておく必要があります。

先の「iDeCoの掛金(拠出限度額)の上限」では、加入区分によって掛金に上限が定められていることをお伝えしました。

iDeCoの掛金は、月々5,000円以上、1,000円単位で設定することができますが、掛金を設定する際は加入期間等に応じて受給できる開始年齢を視野に入れながら設定する必要があります。

無理なく、継続して拠出できる金額で掛金を決めるといいでしょう。

手順3;資産運用の知識・教養を深める

iDeCoは自己責任において資産運用を行なうことになりますので、60歳以降に老齢給付金が増えるケースもあれば、減るケースがあることを念頭においておかなければなりません。

次の手順4に示している内容を理解するだけでなく、金利リスク、為替リスク、信用リスクなど、リスクの種類や内容についても把握しておく必要があります。

また長期運用や分散投資の効果なども知っておくことで、ご自身の理想に合った資産運用を行なうことができるのです。

手順4;運用商品を選ぶ

運用商品によって、しくみ、特徴をはじめ、リスクやリターンなどが異なりますので、前述の「手順3」でお伝えしたように、運用商品の知識・教養を深める必要があります。

もし運用商品について不明な点があった場合は、iDeCoを取り扱っている運営管理機関などに相談するといいでしょう。

手順5;金融機関を選ぶ

iDeCoの申し込みは運営管理機関を通して加入する必要があります。

ここでは金融機関を選ぶ3つのポイントについてみていきましょう。

●魅力的な商品を選ぶ

運用商品は、金融機関ごとに取扱い内容が異なりますので、ご自身で商品ラインナップを比較しながら運用したい商品を決めていきます。

●サービスが充実している商品を選ぶ

実際に運用商品を活用するときに、コールセンターなどの応対が優れているかなど、気持ちよく取引できる金融機関を選びたいものです。

●手数料を確認する

iDeCoは毎月にかかる管理手数料などが異なりますので、金融機関ごとに比較・検討するといいでしょう。

まとめ

今回は、iDeCoを利用した節税効果とiDeCoの注意点についてご紹介しました。

iDeCoは節税効果が高いことで知られており、人生100年時代ともいわれているように、老後の期間が長くなっていることを考えると、節約できるところは節約しながら資産を運用したいものです。

iDeCoの注意点についても書いておきましたので、資産運用する前に必ずチェックするようにしてください。

今回の記事を参考に、iDeCoのしくみを理解し、知識・教養を深めながら自分に合った資産運用をみつけてiDeCoを利用してみてはいかがでしょうか。

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